こちらのホテルはデザインがとても優れており、刺激的な宿が好きという人におすすめのブティックホテルです。五つ星ホテルに慣れている人にはその雰囲気とは異なるため、少しハードルが高いかもしれません。

香港の中心、湾仔(ワンチャイ)エリアに位置し、ビクトリアハーバーまでもすぐ。ビジネス利用でも観光利用でも使える便利な立地です。

もともとは1970年代に建てられた建物を活用して2006年に開業したホテルなのですが、それを2017年にリノベーションしオープンしています。

ちなみに、オーナーのJohn Huiは、元テニスプレイヤーという異色の経歴を持つ起業家です。

改装デザインを手掛けたのは、A Work of Substance。香港の他に、パリ、ストックホルムにもオフィスを構えるデザイン事務所です。

ホテルのコンセプトやデザインは1960年代の香港をイメージしています。その時代の香港は経済成長の時代で、特に発展に重要な役割を果たした「海事」の要素をふんだんに取り入れています。例えば、香港を象徴するひとつでもあるクロスハーバーフェリー。客室はこのクロスハーバーフェリーに着想を得ており、どこか船の中を思わせるような内装で、クラシックなスタイルになっています。

そして、床、壁の仕上げから照明、ドアやサイン等のディテールまで、デザイナーの気配りを隅々まで感じます。

一般的には予算の都合で削られやすいような部分でも、きちんと高いクリエイティブのもので行き届いていて、そんなところが実にブティックホテルらしく、感心しました。

一階にあるイタリアンレストランはインテリアデザインも良く、仕事終わりの金融マン達でいつも賑わっています。

海外の友人から、「どうして日本にはブティックホテルが増えないの?」とよく聞かれますが、日本でブティックホテル(中規模以上のホテル)がなかなか増えない理由は「資本力」にあります。いわば一定以上の資本を投下できるプレイヤーがまだ少ないからです。

ブティックホテルを企画、運営するプレイヤーも少なく、さらに、企画や運営ができても資本がない場合もあります。

海外のホテル経営においては企画、運営のプロとアセット投資のプロがアライアンスを組んでいることが多いですが、日本にはそのアライアンス関係が無いのです。

また、世界ではプレイヤーと資本家がマッチする場が多くあり、この方法でブティックホテルが増え、ブティックホテル市場がどんどん拡大しています。アジアでも中国、韓国、台湾、香港などでブティックホテルが増えていますが、その多くがプレイヤーと資本家のアライアンスによるもの。こちらのザ・フレミングもその事例のひとつです。

日本においては、今後TRUNKが新たにブティックホテルの市場を創っていきたいと思います。

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