串焼屋TRUNK(KUSHI)の店長として、オペレーションから売上、チームマネジメントを担っています。
調理学校を卒業し、TRUNKの親会社であるテイクアンドギヴ・ニーズに、新卒で入社をしました。ウエディングの調理スタッフとして4年間勤務した後、社内のレストラン事業部に異動しました。レストラン事業部では、会社が運営するアメリカンスタイルのレストランからパイ料理の専門店まで、さまざまなスタイルのレストランで経験を積みましたが、主に私は、「ラ・メール・プラール」にて、スーシェフとして長く勤務をしていました。
味や空間、サービスまで日本の店舗でも、本場さながらの体験をお客さまに提供するため、フランスのモン・サン・ミシェルにある「ラ・メール・プラール」の本店にて、料理研修も行いました。世界有数の観光地にあるレストランで働き、料理の技術はもちろんですが、フランス本場の文化、歴史やそれを受け継ぐ人々と一緒に働くことで、言葉の違いや文化の違いを肌で体験することができ、とてもよい経験をさせていただきました。

フランス研修から一転、串焼屋への挑戦。

フランスでの料理研修から帰国してすぐに、TRUNK(HOTEL)が開業前に限定開催した出張ホテルと題したグランピングイベント「LUXURY CAMP IN MINAKAMI」に、調理の補助として参加しました。そこで、初めて渋谷で面白いホテルを作るという計画を知り、TRUNKに興味を持ちました。

それから2か月ほどたった頃、TRUNKで働かないかというお話をいただきました。その際に頼まれたのが、今まで経験してきた宴会やレストランでの調理ではなく、ホテルで串焼屋をやってほしいという話でした。正直、初めて話をいただいた際は、「なんでホテルに串焼きなのだろう」と戸惑いましたし、同じ調理と言えども、今まで培ってきた経験とは、全く別の技術や知識を要することへの不安もありました。
いろいろと悩みはしましたが、新しいことや面白いことには、興味がありましたし、串焼きという、自分にとっての未知の世界にチャレンジすることへのワクワクした気持ちや、料理人として、新たな引き出しを増やせるという考えもあり、TRUNKに移る決断をしました。

また、そもそもブティックホテルに串焼屋を作るというユニークな試み自体にも、大変面白さを感じていました。TRUNK(HOTEL)のある渋谷の地と串焼きには、実は深い繋がりがあり、戦後GHQ統治の最中、闇市が開かれていたそうで、その中で串の屋台は人々の活気を取り戻すためのエネルギーの源となっていたそうです。そのような歴史背景を受けて、渋谷のソウルフードである「串焼き」という食カルチャーを発信する場所として、TRUNK(KUSHI)が生まれました。

入社後は、TRUNK(KUSHI)のオープニングメンバーとして、2年間自身も厨房に立ち串の基礎を築いてきました。串焼きに関しては、当然ながら全くの素人でしたので、一見簡単そうに見えて奥が深く、独特な技術を求める串焼きに、始めはとても苦労しました。

その後、2019年にはTRUNK(KUSHI)の店長に就任しました。学生時代から、ずっと料理しかしてこなかったので、いざ店長業務をやってみて、想像以上に苦労しました。ヒト、モノ、コト、予算の管理、メンバーを率いるリーダーとして、お店のすべてのことを把握して、理解する。今までも料理人とは言え、ホールのことも理解しているつもりではいましたが、いざ実際に任されてみると、自分の視野が狭かったなと感じます。もし自分でお店を開いたら、ここまでしないといけないのだと実感しました。裏を返せば、それをいちホテルの社員として、今この場で学ばせていただける機会は、自分にとっても、とても大きな経験だと考えています。初めの頃は、できないなりにも店長として、先ずはよいチームを作ることを心がけて取り組んでいました。

「人の心」が料理、接客を通して、お客さまに伝わる。

これは仕事に限らず、プライベートでも言えることですが人と関わる中で、「人情深い人でいること」をとても大切にしています。今まで自分は、人情味溢れる周囲の方々にとても恵まれてきました。家族、先輩、上司、同僚、友人、後輩。今でも関わりある人たちや尊敬する方々は、人情に厚い人が多いように思います。自分自身も信頼ができて、人情味のある人になりたいと、いつも心がけています。そういう人には、自然と周囲に人が集まってくると思っています。

ホテル、そしてレストランは、人と人とが交わる商売なので、「人の心」が料理や接客を通して、お客さまに直に伝わると思っています。私がお客さまの立場でも、働く人が活き活きしていて、チームワークがよいお店は、また行きたいなと思います。いくらお店の空間がお洒落でも、出されるお料理や接客に心がこもってなかったり、働く人同士のコミュニケーションが悪かったりすると、雰囲気や空気感でお客様に伝わってしまうと思うのです。

誇りに思える場所、誇りに思える仲間、自分が好きと思える職場で働けること。

TRUNKは、ホテル自体のユニークさもそうですし、働いている仲間も、一般の会社ではなかなか出会うことのない個性豊かなメンバーが多いと思います。さまざまな職種や経験を積んでいる人が多くいるので、とても魅力的な人が多いと感じます。お洒落でかっこいいなと思いますし、身内が言うのもなんですが、イケてるホテルだなという自負はあります(笑)。

自分自身が誇りに思える場所、誇りに思える仲間、自分が好きと思える職場で働けることは、私の喜びやモチベーションに繋がっていると感じています。それに対して、会社自体もメンバー一人ひとりのWANTや、やりたいことをチャレンジさせてくれる、個性を尊重しているところは、TRUNKの魅力であると感じています。

苦しい時期だからこそ、取り組んだTRUNK(KUSHI)オリジナルTシャツ 。

コロナ禍に入り、緊急事態宣言や営業時間の短縮要請など、思うようにお客さまに来店いただくことが難しい中で、TRUNK(KUSHI)として、食事の提供以外でも、なにかできることはないかとチームメンバーと考えていました。もともと、お店のユニフォームを買い替えたいと予定していたタイミングでもあり、ユニフォームTシャツを作って販売することで、お店に来られない間もお客さまとの繋がりを持つことができると考え計画しました。

Tシャツを作成すること自体は、料理人ですので初めての経験で苦労もしましたが、その過程でも、周りのメンバーの協力もあり無事完成した時は、とても嬉しかったです。

「料理人」という肩書に捉われず、さまざまなことに挑戦したい。

TRUNK(KUSHI)がオープンした当初は、閑古鳥が鳴いている日もありました。そこからメンバーと共に、試行錯誤をして、地道にお客さまを増やす努力を積み重ねてきて、今があると思います。ホテル内のコンテンツのひとつとして、だけではなく、TRUNK(KUSHI)というひとつのお店として、また来たくなる素敵なお店を作っていきたいと思っています。

また、自分は料理人だからと壁を作らず、さまざまなことに挑戦してみたいです。もちろん料理が好きなので、今まで培った経験も存分に発揮していきたいという気持ちもあります。TRUNKの掲げるVISIONやMISSIONに、私自身とても共感しているので、ホスピタリティ業界をもっともっと活性化していきたいと思っています。

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