TRUNK(HOTEL)は、7月1日(水)に約3カ月ぶりに営業を再開しました。
以前、総支配人の古賀久夫が前回、インタビュー内で「全館で工夫をしている」と語った通り、館内には独創的な感染拡大防止の工夫の数々が見られます。
また、新型コロナウイルスの影響によりインバウンドの需要回復が当面見込めない中でホテル業では内需喚起の動きが活発ですが、TRUNK(HOTEL)は自社のビジネスを鑑みて、あえてターゲットや戦略を変えないことを選択しました。
本コラムでは、withコロナ時代のホスピタリティ業界に提案したいTRUNK(HOTEL)の考え方や、今後のTRUNK(HOTEL)の戦略を紹介します。
ゲストが楽しめる感染拡大防止策を実現するTRUNK(HOTEL)のアイデア
TRUNK(HOTEL)では、「What a Wonderful World Being with You (あなたが一緒の世界はすばらしい) 」をコアメッセージに、従業員・入館者のヘルスチェックや館内消毒などの安全策を取った上で、お客様に楽しんでいただけるさまざまな演出を行っています。
感染拡大防止策をただ「義務」として行うのではなく、「楽しめる」ものに変える取り組みの数々をご紹介します。
エントランスでの安全・安心の確保
エントランスでは、非接触型体温計による検温とチェックリストにより入館者の管理を徹底しています。入館される方全員に、足踏プッシュ式のサニタイザーでの手指の消毒、マスク着用をお願いしています。マスクを着用いただけない方にはご入館いただけませんが、お持ちでない方にはオリジナルデザインが施されたマスクをお配りしています。
一歩踏み入れた瞬間に広がるジャングルのような空間
訪れたゲストがまず驚くのがラウンジバーTRUNK(LOUNGE)の様子。
まるで、ジャングルのようにたくさんの観葉植物が設置されています。
実は、これはソーシャルディスタンスを確保するための工夫。
ソーシャルディスタンス確保のための取り組みと言えば、座席を撤去したり、紙やシールで座席をふさぐのが一般的ですが、TRUNK(HOTEL)ではそこに植物を置くことで、ゲストが以前よりも空間を楽しめるように工夫をしています。インハウスのクリエイティブチーム・TRUNK Atelierの企画・ディレクションのもと、フラワーデザイナーでありThe Little Shop of Flowersオーナーでもある壱岐ゆかり氏がスタイリングを担当しています。
メインダイニングTRUNK(KITCHEN)ではテラス席を含めて、座席数を減らしたゆとりのあるレイアウトに変更。2020年7月現在、座席数は従来の半分以下となっていますが、座席を間引いた寂しさを感じさせないようこちらも観葉植物で空間演出をしています。
※参考: 以前のTRUNK(LOUNGE)
メッセージングなゲリラアート
館内各所では新型コロナウイルス感染症拡大防止に関連したポジティブなメッセージを込めたゲリラアートを展開しています。
コンセプトショップTRUNK(STORE)のガラス張りの外観は、スプレーアートで埋め尽くされています。そこにはメインテーマの「What A Wonderful World Being with You」の他に「DON`T BE A COVIDIOT(コヴィディオットにならないで)」「DISTANCE YOURSELF FROM HATE(‘HATE’から距離を取ろう)」などさまざまなメッセージが記されています。
喫煙所には、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品『最後の晩餐』をモチーフにしたアートが出現。困難な時だからこそ前向きな気持ちになっていただけるよう、「A JOYFUL HEART IS GOOD MEDICINE (楽しむ心が何よりの薬)」と表現しています。
バーカウンター横に新たに出現したアートでは、緊急事態宣言が解除された際の新聞に模した背景を敷き「DO NOT SPREAD.(拡散しないで)」をタイポグラフィカルなグラフィックで表現しています。第二波が爆発的に日本、東京を襲い始めている今の状況だからこそ、より一層危機感を持つよう発信しています。
その他細かいところにもクリエイティブがたくさん
その他にも館内の随所にクリエイティブな工夫が施されています。
TRUNK(LOUNGE)のバーカウンターにある一見お酒にも見えるこちらのボトルの中身は、実はハンドサニタイザー。
2m間隔を推奨するフロアステッカー。中には、「Enjoy no matter what(何があっても楽しもう)」、「Take care of each other(お互い思いやろう)」といったメッセージ付きのものもあるので、是非探してみてください。
エレベーターサインや、スタッフが着用しているTRUNK(HOTEL)オリジナルのマスクには「DO NOT DISTURB SPREAD(拡散しないで)」のデザインが施されています。
ホテルのドアノブ標識で使用される「DO NOT DISTURB(起こさないで)」からのパロディ。
TRUNK(HOTEL)の今後の戦略
新型コロナウイルス感染拡大によりインバウンド需要が減退するなど、ホテル業界全体が大きな影響を受けました。内需喚起にシフトする、ターゲットを変更するなど戦略を変更する動きもみられます。
TRUNK(HOTEL) も、元々宿泊客の87%(※コロナ危機の2019年4月-12月)をインバウンドが占めるホテルとあって事業環境は大きく変わっています。しかし、自らのビジネスの特性を鑑みて、 “戦略を変えない”ことを選択しました。
それは、TRUNK(HOTEL)が独創的で高いクリエイティビティを持つ唯一無二のホテルである「ブティックホテル」という業態であり、旅慣れたライフスタイル感度の高い欧米人、在日外国人、東京人をターゲットとした戦略・クリエイティブ・商品企画・社員教育を徹底しているから。それが功を奏し、実際にターゲット層にリーチしお越しいただけています。TRUNK(HOTEL)のこの空間と、ターゲット層によってつくりだされる『雰囲気』こそTRUNK(HOTEL)を訪れるゲストが求めているものであり、長期的に守らなければいけないものと考えています。
営業再開以来、ラウンジやレストランには都内在住の外国人や東京人など多数のリピーターの方々に来ていただいており、賑わいを取り戻しています。TRUNK(HOTEL)がこれまで行ってきたビジネスは、「今後」にも繋がっていると考えています。
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