TRUNKには、TRUNK(HOTEL) CAT STREETの開業以来、強い意志を持って継続している活動があります。それが、私たちの哲学と高い親和性を持った企業・団体・個人に対するドネーション(寄付)活動です。寄付先は、サステナビリティコンセプトである「ソーシャライジング」を構成する5つのエレメントに照らし合わせて採択され、その選考プロセスにはTRUNKの全メンバーが主体的に関与する点に特徴があります。今回のTRUNKER’S TALKでは、2024年度の寄付先のひとつである株式会社BonchiのCEO・樋泉侑弥(ひいずみ・ゆうや)氏をお迎えし、ドネーションプロジェクトの推進役である植竹祐介(うえたけ・ゆうすけ)と四ノ宮亮平(しのみや・りょうへい)と共に、「ドネーションを通じた新たな関係性づくり」を巡る対話をお届けします。3人の言葉からは、「長期的なパートナーシップの端緒を開く契機としてのドネーションの理想像」が見えてくるかもしれません。
開業初年度から続ける取り組み。
ソーシャライジングを起点とした寄付活動。
TRUNK(HOTEL)では、私たちの哲学と共鳴する企業・団体・個人に向けて、毎年の売上から500万円を上限としてドネーション(寄付)を行うことを目標に、日々の業務にあたっています。寄付先については、「自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること」を表すTRUNKのサステナビリティコンセプトである「ソーシャライジング」を構成するキーエレメントとの親和性の観点から選定しています。初の試みはTRUNK(HOTEL) CAT STREET開業翌年の2018年。コロナパンデミック期間の一時休止を経て、2022年から再開しました。この活動を通じ、多くの方々が日常のなかで、社会との接点を無理なく見出せる機会を創出することを目指しています。
このドネーションプロジェクトの特徴のひとつが、寄付先の選定過程にTRUNKの全社員が主体的に関わっている点。具体的なプロセスを見ていきましょう。まず、一般公募に加えて社員が応援したいと考えた企業・団体・個人を選出(2024年度は65団体)。その後、各部署から集まった有志で構成されたプロジェクトチームでの一次審査により、最終選考に進む候補者を絞り込みます(同・19団体)。最終選考では、TRUNK(HOTEL) CAT STREETに候補者をお招きし、TRUNKメンバーに向けたプレゼンテーションを実施。事業の魅力や将来性、解決すべき課題、今後のビジョンにおける寄付金の使途などの視点から総合的に検討します。TRUNKの全社員は等しく投票権を持ち、「応援したい」と思う候補者に投票。獲得票数によって最終的な寄付先を選定します。2024年度は、65団体から選ばれた4団体への寄付を実施しました。
⁂ 2024年度までの寄付先
2018年度
認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ / 渋谷みつばちプロジェクト / 一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ) / NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
2022年度
合同会社渋谷肥料 / 円山町チャンネル・ラブホテルイノベーション / チャリティーサンタ / 株式会社リンクプロデュース 障がい者自立支援事業 / 一般社団法人Arts and Creative Mind
2023年度
株式会社ショコラボ / 特定非営利活動法人ReBit / 認定NPO法人キッズドア / アフターケア相談所ゆずりは / 日本赤十字社(能登半島震災被害への寄付金として)
2024年度
特定非営利活動法人ReBit / 特定非営利活動法人シブヤ大学 / 一般社団法人unisteps / 株式会社Bonchi
最終プレゼンテーションには多くの社員が参加し、最も「TRUNKらしい」と感じた候補者に一票を投じる。年に一度、自らの想いを託す寄付先を選ぶ眼は、常に真剣そのものだ。
私たちだからこそ支えられるのは誰か。
「TRUNKらしい寄付先」を見逃さない。
「TRUNKらしさこそが最も重要です」と話すのは、TRUNK(KUSHI)のマネージャーで2024年度のドネーションチームのまとめ役を務めた植竹祐介。TRUNKだからこそできるドネーションを ―― 穏やかな口調の奥には、そんな理想を追い求める静かな覚悟が垣間見えます。
“ 私たちが最も大切にしているのが、「この寄付先は、果たしてTRUNKらしいと言えるだろうか?」という観点です。社会を見れば、本当に多くの寄付金や助成金の制度であふれていますよね。誰もが支援したいと思うような企業・団体・個人であれば、敢えてTRUNKが支えていく意味は少ないかもしれません。私たちがいなければ見逃されてしまう。私たちでなければ掬(すく)い取れない。そうした寄付先を選定していくことこそが、私たちのドネーションの存在意義だと思います。寄付先は純粋にTRUNKメンバーの意見を集約して決定しており、経営陣の意向、特定団体への忖度、その他の如何なるしがらみも存在しません。一人ひとりの想いを大切にし、ボトムアップで文化を創り上げていく。ドネーションのあり方にも「TRUNKらしさ」を感じます ” (植竹)
2024年度のドネーションチームのリーダー・植竹祐介。普段はTRUNK(KUSHI) でマネージャーを務めており、「食」を取り巻くさまざまな課題に対する感度も高い。
ドネーションが始動した当初を振り返ると、寄付先の審査・選定において、ソーシャライジングを構成する5つのキーエレメント ― 「ENVIRONMENT(環境)」「LOCAL FIRST(ローカル優先主義)」「DIVERSITY(多様性)」「HEALTH(健康)」「CULTURE(文化)」 ― との整合性を厳密に求めすぎていた部分も否定できません。しかしながら、年月を重ねるに従い、そのあり方も変化してきました。寄付すべきと感じたら、ルールや原則を超えて、自分たちの気持ちを大切にしていこう ―― ソーシャライジングの理念はもちろん大切にしつつも、日々業務にあたる現場のメンバーたちの間で新しい空気が少しずつ醸成されてきたのです。もし、未だにソーシャライジングとの親和性に拘りすぎていたなら、未曾有の被害に見舞われた能登半島震災への寄付金拠出は実現していなかったかもしれません。このドネーション活動は決して固定化された仕組みではなく、社会状況に合わせて柔軟にその姿を変化させてきたのです。
山梨から世界へ。
日本の宝をいつまでも作り続けるために。
2024年の4つの寄付先のひとつとして採択されたのが株式会社Bonchi(以下 Bonchi)。山梨県南アルプス市を拠点に、古くからのルールや商習慣が蔓延(はびこ)る農業の世界にパラダイムシフトを起こそうという情熱にあふれたスタートアップブランドです。自然農法や減農薬、化学肥料不使用といった「人にも大地にも優しい農業」を手がける果樹農家と提携して産地直送のオンラインストアを運営。若手の新規就農者を支援する「Farm the FARMER. project」も推進しています。
CEOである樋泉侑弥氏は、20代前半の若さでBonchiを興しました。生まれ育った山梨県は、野菜よりも果樹の生産量が多い、全国的に見ても稀有なエリア。「果樹王国」と言う言葉がぴったりで、桃や葡萄、桜桃などを手がける果樹農家を身近に感じてきました。事業を立ち上げた背景には、いくつかの理由が複合的に絡んでいます。最も大きな動機は、「日本の美味しい果物を全世界に発信したい」という内側から湧き上がる野望。「木熟(樹に付けたまま果物を熟させる栽培方法)で姿形も整った美しい果物が当たり前」という環境だった樋泉氏にとって、東京をはじめとした大都市で販売されている早熟の果物の佇まいは、少なからず残念な想いを抱かせるものでした。本当はもっと美味しいはずなのに… ―― 消費されるまでの流通過程を考えると、どうしても早い段階で収穫せざるを得ないものの、どこか釈然としない気持ちがあったと言います。一方で、留学先のシドニーでは、水分が多く味も薄い、どちらかと言えば「野菜に近い感覚」で消費されている現地の果物に触れたことで、改めて日本の果物の質の高さを実感。「日本の果物は、間違いなく世界で戦える…!」というポテンシャルも感じていました。「日本の農業全体の課題である農家の高齢化と後継者不足。果樹農家も例に漏れず、若い世代の新規就農者を増やし、持続可能な形に産業構造を変えていくことも自分たちの使命だと感じた」とも話す樋泉氏。そうした想いを叶えるため、2020年、Bonchiを創業するに至りました。
“ 日本の果物は世界でも類を見ないほどのクオリティを持っています。その点にはもっと自信を持っていいはずです。ところが、その果物を作り続けられる環境と仕組みが失われつつあるのもまた、目を背けてはならない厳しい現実です。農家の高齢化や後継者不足は、日本の農業全体に共通する課題。現在の新規就農支援の仕組みでは、年齢を問わず、希望者全員に対して支援内容が全く同じであるため、より手厚くすべき若年層へのサポートが十分とは言えないという問題があります。20代や30代の新規就農希望者の場合、就農に必要な自己資金が不足しているケースも多く、たとえ農業に興味があったとしても金銭的負担への不安が先に立ってしまい、最初の一歩を踏み出す勇気が出ないことも少なくありません。こうした現状を踏まえ、農業界全体を変革し、若手の新規就農希望者を支援する新たな産業構造を作りたい。私たちはそう考えています ” (樋泉)
株式会社BonchiのCEO・樋泉侑弥氏。生まれ育った山梨県南アルプス市は果樹農家が多く、近所には「桃園」という地名があるほど。いかに果樹栽培が盛んな地域であるかがわかる。
農業は世界最古の産業のひとつ。人類を幸せにし続けてきた農業をこれからも残し続けるために、慈善事業ではなく、あくまで営利企業として利益を追求しながら山積した課題と向き合う樋泉氏。その視線の先には、農業界にイノベーションを起こす日がはっきりと見えていることでしょう。
コーヒーショップでの出会いから始まった、
TRUNKとの奇異な縁。
BonchiとTRUNKの道が交差したのは、今からおよそ5年前のこと。当時、創業から間もないBonchiはブランドプロモーションの一環として、TRUNK(HOTEL) CAT STREETからほど近いコーヒーショップでオリジナルアパレルのポップアップストアを展開。その開催期間中にTRUNKのメンバーが訪れたことがきっかけでした。
“ 以前、私がその店で働いていたご縁で、Bonchiのポップアップを実施する機会をいただきました。その時にお越しいただいたある一人の社員の方とお話をさせていただいたのが、TRUNKさんとの最初の出会いでした。イベントが終わった後、その方が取りまとめてくださって、Bonchiの事業にご興味を持ってくれたパティシエやソムリエなど、TRUNKさんで飲食に携わる方たちを連れてわざわざ山梨まで訪ねてきてくれたんです。程なくして、私たちがお届けする果物をTRUNKさんで取り扱っていただけるようになりました” (樋泉)
TRUNKとBonchiとの出会いは5年ほど前。以前働いていたコーヒーショップで樋泉氏が開いたポップアップがきっかけだった。あの日、ある一人のTRUNKスタッフが偶然訪れていなければ、今の関係性はなかったかもしれない。
日本全国の約80の農家と提携し、一年を通じて30種近い果物を取り扱うBonchi(2025年12月時点)。全国から届けられる旬の果物は、ウェディングの参列者やレストランのお客様からも賞賛の声をいただいています。季節ごとに新たなメニューを提案する飲食部門を持つTRUNKにとって、果物に精通したBonchiは最高の相談相手。「次のシーズナルメニューにどんな果物を使ったらいいか、Bonchiさんに相談してみよう」ということも珍しくありません。たとえば、毎年多くの予約をいただくクリスマスケーキ。2025年の主役は、苺本来の甘味と酸味を楽しめる「完熟紅ほっぺ」と、薔薇や蘭のような香りを漂わせる赤いシャインマスカットの「サンシャインレッド」。いずれもBonchiから仕入れたもので、特別な日を彩る一品に相応しい美味しさと華やかさにあふれています。
とある渋谷のコーヒーショップでの偶然の出会いが、新しいビジネスの扉を開いたのです。
ドネーションの、その先へ。
新しい「つながり」を拓くスタート地点に。
良好な関係が続くなか、TRUNKのドネーション活動を知って「迷うことなくエントリーした」と話す樋泉氏。そこには寄付先への採択だけに留まらない、さらに遠くの未来を見据えた狙いがありました。
“ 農業界にインパクトを与えたい ―― そう考えているものの、私たちの企業努力だけで成し遂げられることには限界があるのも確かです。その意味で、TRUNKさんのようなブランド力と影響力を備えた企業とのパートナーシップは大きな助けとなります。新規就農者にとって農機具の購入は大きな負担ですから、その費用に寄付金を充てられるのは大変ありがたいことなのは間違いありません。しかしながら、寄付金を頂くだけでは一瞬の関係に終わってしまいかねない。そこで寄付金の使い途として、両者の長期的なパートナーシップの象徴となる「植樹」を提案させていただきました。寄付先に選んでいただいたのを機に、共に植えた樹の成長を見守っていきながら「新しい関係性」を築きたいと思ったんです ” (樋泉)
植樹というアイデアはBonchiからの提案。まだか細いこの桃の苗木が大きく伸び、美しい実を付けるのは、今から5年ほど先のことになる見込みだ。
奇しくも、「植樹を通じた長期的パートナーシップの構築」という樋泉氏の提案は、TRUNKが模索する「新しいドネーションの形」にもマッチするものでした。ともすると、寄付金や助成金は、「支援する側」と「支援される側」の金銭的関係に留まってしまうことも少なくありません。寄付の先に何ができるのか? ―― それはプロジェクトチームが取り組んでいた重要なテーマでした。
“ まさにこの点こそが、今年の寄付先選定で強く意識した部分でした。寄付させていただいた先に、いかに意味のある「つながり」を持つことができるのか。寄付金だけの一過性の交流に終わることなく、ドネーションを契機として長きに亘って「新しい関係性」を紡ぐことができるのか。この視点を全メンバーが意識し、TRUNKらしい寄付先を選定することを目指しました。昨年までの寄付先についても、ソーシャライジングとの共鳴という点では十分にTRUNKらしさが感じられました。ただ、「ドネーションの先にある関係性づくり」にまではなかなか進むことができなかったというのが正直なところです。最終プレゼンテーションの際にご提案いただいた「植樹」のアイデアや今後の協業案を聞いて、これから先の新しい展開を感じました。それは私だけでなく多くのメンバーたちも同じです。Bonchiさんとの取り組みは、「ドネーションから始まる新しい関係性づくり」のモデルケースになる。そうした期待を持っています ” (植竹)
「寄付から始まる新しい関係性」を模索していたドネーションチームにとって、Bonchiからの提案は「光」に見えたという。単なる寄付に終わらない「つながり」を予感させるものだった。
ドネーションチームの一員として、Bonchiとの窓口を務めた四ノ宮亮平。TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKのオールデイダイニング「PIZZERIA e TRATTORIA L’OMBELICO(ピッツェリア・エ・トラットリア ロンベリコ)」のマネージャーを務める四ノ宮は、「樋泉さんからのご提案は、特に食に携わるメンバーたちの共感を得るには十分でした」と振り返ります。
“ TRUNKには飲食コンテンツに関わる従業員が数多く在籍していますが、食や農業が抱える課題についてはもっと深く理解する必要があると感じています。Bonchiさんのプレゼンテーションを通じて、農業従事者の高齢化と後継者不足、新規就農のハードルの高さ、耕作放棄地が増えることによる環境荒廃リスクなど、日本の農業界が抱える様々な問題を改めて認識したというメンバーもいたことでしょう。私自身も食に関わる一人として、Bonchiさんの描く未来には深い共感を覚えました ” (四ノ宮)
ドネーションチームの一員としてBonchiとの調整に当たったのは、PIZZERIA e TRATTORIA L'OMBELICO のマネージャー・四ノ宮亮平。食に携わる一人として、Bonchiの課題意識には一票を投じるに十分な説得力を感じた。
ドネーションはゴールではなく、新しい関係性を築くスタートでありたい ―― お互いの想いが重なり合い、Bonchiは2024年度の寄付金採択先のひとつに決定しました。自然と響き合う3人の言葉を聞くと、それはまるで「必然」だったかのような感覚を覚えます。
あの日に植えた桃の樹と共に、
未来を支える若き農家が巣立つ日まで。
植樹に選んだのは、山梨を代表する果物のひとつである「桃」。2025年11月に実施した初めての植樹にはTRUNKから7名のメンバーが参加し、まだ大人の背丈にも満たない5本の苗木を丁寧に植え付けました。「桃栗三年柿八年」と言われるとおり、果樹は収穫が安定するまでにかなりの時間がかかります。これからも現地に赴き、植樹した苗木の世話をする取り組みを継続していきます。
“ 植樹への参加を呼びかけたところ、多くのメンバーから反響がありました。今回は都合が合わずに参加できなかった人たちもいましたが、今後も植樹は予定していますし、植樹を終えた樹の手入れについても、様々な作業工程で私たちが関与できるタイミングがあります。Bonchiさんとの取り組みに積極的に関わってもらえるよう、スタッフに向けた情報発信を続けていくのが私の役目ですね ” (四ノ宮)
桃の植樹に適した季節は春と秋。2025年11月に植えられた桃の苗木を世話するために、TRUNKメンバーが畑を訪れる姿が見られるだろう。
植樹に参加したメンバーからは、少しばかり意外な感想も届きました。「仲間たちと一緒に農作業をしていると、オフィスや仕事場では話さなかったような言葉が自然とあふれてきた」というのです。農業には、非日常環境での共同作業を通じてチームの結束を高め、日頃のコミュニケーションを改善するチームビルディングの効果もあると言われます。都会の喧騒から離れ、心が緩やかに開放されることで、身近な人の新たな一面に出会うこともあるでしょう。樋泉氏も「ぜひ気軽に畑に来てもらいたい」と話します。
“ 樹や果物に触れ、畑仕事を体験することで、「どんな環境で、どれだけの手間をかけて、一つひとつの果物がつくられているのか」を実感できます。果樹の場合、剪定、受粉、摘蕾・摘花(蕾や花の数を調整し、着果数をコントロールする作業)、摘果(質の良い果実を育てるために、蕾や幼い果実を間引く作業)、袋がけ(病害虫や鳥の被害、日焼けや傷を防ぐため、果実が幼いうちに専用の紙袋を被せる作業)、収穫など、本当にたくさんの作業があるので、いつ来てもらっても新たな学びがあると思います。「語ることのできるストーリー」が自分のなかに育てば、実際にその果物を召し上がってくださるお客様とのコミュニケーションも磨かれていくでしょう。もちろん、仕事のことは傍(わき)に置いて、畑に来て土や樹と触れ合うだけでも癒しになると思います。ぜひ遠慮することなく、いつでも畑に遊びに来てください ” (樋泉)
パートナーシップの証であるオリジナルTシャツ。伝統的な和柄の一つ・七宝(輪違とも呼ばれる)を現代的にアレンジしたデザインは、樋泉氏とも親交の深いデザイナー・船山改(ふなやま・あらた)氏の手によるもの。
2025年に植え付けた樹が実を付けるのは、早くても4年から5年先になるとのこと。そして、新規就農者が独立するまでにも、ほぼ同じだけの年月がかかります。今年植えた桃の樹と共に、農業の未来を支える若き農家が自らの足で歩み始める。そんな大きな物語が紡がれていく予感に心が躍ります。
“ 今年植えた樹の桃が収穫できたら、TRUNK(HOTEL)で「桃の収穫祭」を開きたいですよね。このドネーションに関わっていただいた方たちをご招待して。実は果樹農家の多くは、消費者との接点がほとんどありません。自分たちが丁寧に作った果物が、誰に、どんな風に食べられているのか ―― 残念ながら、それさえ知らない方も多いのが実情です。だからこそTRUNKさんのような素敵な空間で、自分たちが大切に育てた果物がたくさんの人に喜ばれていることを知ったら、生産者自身も、そのご家族たちも、きっと農家という仕事に誇りを持てるはずです。その日まで、TRUNKさんとのパートナーシップを継続できれば嬉しいですね ” (樋泉)
開花時期の桃畑は、薄桃色の絨毯を一面に敷き詰めたかのよう。その美しい光景は、まさに「桃源郷」と表現するにふさわしい。忙しい都会での生活に疲れた心も、きっと癒されるだろう。
2024年度の採択先選定を経て、TRUNKのドネーション活動はまた新たなフェイズに踏み出しました。先行事例に学びながら、ここから先にどのような展開を見据えているのか。ドネーションチームのリーダーである植竹は「最初の熱狂を持続させることが大切」と話します。
“ Bonchiさんをはじめ、2024年度の4つの採択先との取り組みは、TRUNKのドネーションに新しい風を吹き込みました。毎年のことですが、候補者による最終プレゼンテーションの場は、独特の熱狂に包まれます。さまざまな社会課題やそれに向き合う想いを知ることで、自分ごとのように感じられる多くの気づきに出会うからでしょう。採択後もその熱を失うことなく、取り組みを継続・発展させていくことは、このチームの大切な役割のひとつ。遠くまで一緒に歩むための第一歩になる ―― そんなドネーションが実現できるよう、これからも議論を重ねていきたいと思います ” (植竹)
ドネーションから始まる未来の広がりを巡って、和やかに談笑する3人。「らしさ」を失うことなく、TRUNKのドネーションプロジェクトはこれからも変化し続けていく。
ソーシャライジングの取り組みのひとつとしてスタートしたドネーションプロジェクト。年月を経て、TRUNKメンバーの考え方や日々の業務に新たな視点と奥行きを与え始めています。固定観念や先入観に支配されることなく、旧来の枠組みを鮮やかに解体して再構築する点にこそ、「TRUNKらしさ」の真髄が現れていると言えるでしょう。TRUNKは、理念に囚われて自縄自縛になるのではなく、「自分たちにしかできないドネーションのあり方」をこれからも探り続けていきます。
⁂ TRUNK(HOTEL)の寄付実績について
https://catstreet.trunk-hotel.com/about/donation/









