「TRUNKらしさ」をかたちづくるのは、多彩な個性を持ったメンバーの存在です。TRUNKで自分らしく働くことができるのはなぜなのか。一人ひとりの「いま」にスポットを当て、その想いを掘り下げます。話を聞かせてくれたのは、コーポレート部門でグローバルPRを担う清水有香(しみず・ゆか)。TRUNKブランドの魅力を世界へ発信する「顔」として、メディアやジャーナリストとの良好な関係性構築に日々奔走しています。2027年の新たなホテルの開業を控え、欧米のみならずアジアにおいてもブランドの存在感を高めていくことが求められるなかで、グローバルPRが担う役割はより一層大きくなっていくのは間違いありません。幼少期から大学卒業まで長く海外で暮らした生い立ちもあり、「日本人でありながらグローバルな視点で日本の魅力を伝えることができるのが自分の強み」と話す彼女。真のグローバルブランドを目指すTRUNKのため、「自分だからこそ実現できるPRの姿」を語ります。
欧州、北米、そしてアジアへ。
私たちのホテルの魅力を世界に発信する。
2024年11月にTRUNKに入社し、ブランドコミュニケーション部で主にグローバルPRを担当しています。TRUNKは2027年、渋谷・道玄坂と札幌・大通地区にそれぞれ100室以上のゲストルームを擁する新たなホテルの開業を予定しています。私たちは世界中にその魅力を伝えるため、欧米はもちろん、アジア地域にもPRを拡大しているところです。現地のエージェンシーとも連携しながら様々なメディア、ホテルジャーナリスト、トラベルライターとコンタクトを取り、TRUNK(HOTEL) CAT STREETやTRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK、TRUNK(HOUSE)といった私たちのホテルへの取材誘致を図っています。ホテルでの滞在体験を記事化していただくケースが多く、事前の交渉、宿泊の調整、滞在中のご案内などの基本対応から、可能な場合には執筆していただいた記事の校正まで、一連の業務に対応するのが私の仕事です。
自らのルーツを知るために。
日本での就業を決意し、ホテル業界へ。
最初に、TRUNKに加わるまでの経緯を少しお話しさせてください。私は父の仕事の関係で、幼い頃から海外で暮らしてきました。生後3ヶ月でシンガポールへ、それから台湾とタイを経てシンガポールへ戻り、高校卒業まで過ごしました。その後、カナダのモントリオールの大学へ進学しました。日本とは卒業時期が異なっていたため、就職活動をしながら近所のカメラ屋さんでアルバイトをしていましたね。写真は今も私の趣味の一つになっています。
それまでほとんどの時間を海外で過ごしてきた自分が日本で就職しようと思ったのは、「自分のルーツを知りたい」と考えたからでした。日本で暮らした時間は短くても、普段は英語を使って暮らしていても、やっぱり自分は日本人ですから、自分を作っている「根」の部分を理解したいというのが大きな要因でした。数ある仕事のなかでホテル業界に出逢ったのは、帰国子女向けの就職フォーラムがきっかけでした。海外からのお客様をお迎えするホテルという場所であれば、自分が生活のベースとしてきた英語のスキルも活かせるだろうと思えたのも大きかったですね。そうして翌年4月から日系ホテルで働くことになりました。入社後は東京のホテルで現場スタッフとして3年間勤務し、その後、グローバルPRとセールス&マーケティングを担う部署に異動となって、主に北米とヨーロッパに向けたPRを4年間ほど担当しました。
TRUNKへの転職は、「志を同じくする仲間と共に世界に挑戦していきたい」と考えたのが一番の理由でした。同じホテル業界に身を置いていたので、前職在籍時からTRUNKのことはもちろん知っていました。本格的に転職を検討し始めてからは、ウェブサイトなどを通じてTRUNKブランドへの理解を深めていったのですが、「TRUNKが手がけるブティックホテルは、間違いなく海外のツーリストが求めているものだ」と強く感じました。そして、TRUNKブランドについて知れば知るほど、海外挑戦などに対する考え方などにおいて自分の指向と親和性が高いことも見えてきたのです。TRUNKであれば、これまでホテル業界で培ってきた経験を活かしながら、日本と世界をつなぐ存在として貢献できる。そう考えました。
新たな職場を探すには転職エージェントを介する方が多いと思いますが、私はオフィシャルサイトから直接アプローチしました。この時代では珍しいかもしれませんね。TRUNKでもグローバルPRに関わりたいと考えていましたが、私が応募した時点でオープンになっていたのは宿泊部門のポジションだけでした。それでも「TRUNKで働きたい」という想いが強かったので思い切ってエントリーしたのですが、採用プロセスが進むなかで前職での経験やスキルを評価していただき、TRUNK側からグローバルPRのポジションをオファーしてもらいました。「諦めずに一歩踏み出して良かったな」と思いましたね。でも、もし宿泊部門のポジションで採用されたとして、きっとTRUNKに加わっていたでしょう。私は建築やデザインにも興味があり、「ゲストに自信を持って紹介できるブランドで働きたい」という想いも強かったので、その観点からもTRUNKブランドに心をつかまれていたのだと思います。
言葉を通じて人とつながる。
それがPRの仕事の魅力。
TRUNKでPRの仕事に携わる魅力は、挙げればそれこそキリがないのですが、やはり「言葉を通じて新しい人とつながる」という点が一番ですね。世界に向けてTRUNKというブランドのストーリーを語り、まだ見ぬゲストとつながる体験を創り出す面白さは、何物にも変え難いものがあります。
PRという仕事を詳しくご存知ない方もいらっしゃると思うので、少しだけご説明しておきます。PRとはパブリック・リレーションズ(Public Relations)の略で、「企業・組織が社会との望ましい関係性を築くためのコミュニケーション活動」のこと。一般的には宣伝や広告と混同されることも多いですが、本来は「より長期的な関係構築と信頼醸成を目的とした戦略的活動」という意味合いを含みます。
PRのなかでも中心となる活動がメディアリレーションです。これはメディアに対して企業・組織に関する情報を提供し、その情報を元に記事や番組といったコンテンツで取り上げていただけるように働きかける動きを指すもので、単に「PR」と言う場合にはこのメディアリレーションを指すことが多いですね。
広告と比較すると、広告が「出稿料を支払うことで企業・組織側の望むメッセージをある程度自由に届けるもの」であるのに対し、PRは「メディア側、ひいてはその先にいるオーディエンス(読者や視聴者)にとって価値ある情報を提供することで、企業・組織に関するコンテンツを制作する動機づけを行うもの」であり、本質的に異なる活動であることがわかります。つまり、PRではどれだけ広告費を支払ったとしても、メディア側が「これは届ける価値のある情報だ」と認識しない限り、コンテンツになることはありません。ここがPRの難しさであり、やりがいを感じる部分でもあります。
普段メディアと接する際には、つい夢中になって伝えることばかりに集中しがちです。一方的に情報を提供するだけにならないように、対峙する編集者、ジャーナリスト、トラベルライター、目の前の一人ひとりの興味や関心を見逃さず、目線や表情、ちょっとした反応などを読み取って、相手の方が求めているものを返すことを常に意識しています。彼ら自身がTRUNKの世界を体験できるような親密なコミュニケーションを心がけており、これはホテルにおけるサービス業務とも通じる部分があるかもしれません。前職では60以上のプロパティを網羅的にPRしていたのですが、TRUNKは現時点でTRUNK(HOTEL) CAT STREET、TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK、TRUNK(HOUSE)という3つのプロパティのため、それぞれの特徴を深く理解した上で密度の高いPRができていると自負しています。
プロパティごとに見ていくと、TRUNK(HOTEL) CAT STREETではコンセプトである「ソーシャライジング」に共感いただくことが多いですね。都会の中心にありながら、さまざまな場面でローカルのものを取り入れ、環境負荷に配慮した取り組みを導入することで、滞在体験自体が深い意味を持つ点をご評価いただいています。TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKは、都会にありながら自然を感じられる「都会のオアシス」として好評を博しています。ルーフトッププールから眺める東京の街並みと代々木公園の緑豊かな景色には賞賛の声をいただいており、特に秋から冬にかけて公園の樹々が色付く季節は特におすすめですね。TRUNK(HOUSE)も、かつての花街の面影を残した神楽坂という場所の風情に馴染んだ特別な空間を評価していただいています。どのプロパティにおいても、スタッフのサービスクオリティや親しみやすさ、さらには周辺のショップや飲食店に関する提案力についても喜んでいただくことが多く、PRを担当する身として嬉しく思っています。
TRUNKブランドの強みは「滞在そのものに目的や意味を持たせられること」。ブティックホテルというカテゴリーが好みであればTRUNK(HOTEL) CAT STREETを、都会にありながらも豊かな自然に触れたい思えばTRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKを、ローカルに溶け込んで地元の人のように過したければTRUNK(HOUSE)をと、ツーリストの幅広いニーズに応えて提案できるのはTRUNKブランドの強みだと思います。プロパティの数こそまだ多くはないものの、日々新しい学びがあるので、常に新鮮な気持ちで仕事に臨むことができています。今後、新たなプロパティが増えていった時にも、一つひとつの特徴を深く理解し、その魅力を言葉に紡いでいきたいですね。
ホテル業界のなかで認められる存在に。
アワード獲得が持つ価値。
PRの仕事の一環として、私たちTRUNKでは「ホテルに関するアワードの獲得」についてもブランディングのための重要な項目として捉えています。アワードの獲得は、権威ある団体やメディアからの客観的評価であり、より多くの人たちにTRUNKブランドを知っていただく機会になるからです。また、日頃ホテルづくりや運営に取り組むTRUNKメンバー全員の日々の仕事が報われる瞬間でもあります。
セレモニーの開催日は、発表前の胸の高鳴り、受賞できたときのこの上ない喜び、惜しくも頂点に届かなかった時の悔しさなど、さまざまな感情が渦巻く一日になります。ホテル業界関係者やジャーナリスト、デザイナーの方々に評価いただけることは、毎回とても嬉しく感じています。入社して間もない頃、Tatler Asia(アジア圏の富裕層を対象にしたライフスタイルメディア)が主催するアワードのセレモニーに参加させていただきました。順位も気にはなりましたが、それ以上にホテル業界全体でお互いの実績を認め、讃え合う素晴らしい雰囲気が思い出されます。同じ世界で切磋琢磨するもの同士の結束を強く感じられたことは貴重な経験になりました。
TRUNKはまだ始まったばかりのブランドですが、ホテル業界の顔とも言える錚々たる面々から「TRUNKのことはよく知っているよ」と声をかけていただけるのは大変光栄なことです。PRという仕事に携わっている意味を感じますし、明日からの活力にもつながります。メディアやジャーナリストからの称賛はもちろん嬉しいのですが、「同業者から認められたという事実」は全く違った重みを持つものなんですよね。
真のグローバルブランドになるために。
「私だからできるPR」を目指して。
これまでは欧米を中心にPRを行ってきましたが、これからはアジアへの情報発信も強化していきたいと考えています。2025年度からはアジア地域におけるPRを強化したことで、ライフスタイル感度の高いアジアのゲストも確実に増えており、確かな手応えを感じています。
数多くの日本企業が世界に打って出たいという野心を抱いているなかで、TRUNKはそれほど遠くない将来、「真のグローバルブランドになる」というビジョンを実現できると思っています。今はまさにその途上です。TRUNKが持つ3つのホテルに海外の方を招くという仕事は本当に魅力的です。私自身、海外生活が長かったため、日本の方には当たり前の光景も新鮮な目で見ることができているという部分もあるかと思います。その意味では、ツーリストの視点で「まだ見ぬ日本の魅力」を伝えられるという強みがあるのかもしれません。「私だからこそできるPRのやり方」を追求していきたいですね。いつかは海外で仕事をしてみたいとも思っているのでTRUNKが海外展開を果たした際には、現地でも活躍できたらとも考えています。
PRの仕事はいつまでも続けていきたいと思えるだけのやりがいがあるので、今は一人のPRパーソンとしてTRUNKの魅力を発信することに邁進していきたいですね。いつか全く新しいことに挑戦する時が来るかもしれませんが、それもまた楽しみにしています。









