
ニューヨーク・マンハッタンの中心部であるNoMad(North of Madison Square Park)地区に位置するThe Fifth Avenue Hotelは、歴史の重みと現代的な感覚が交錯するラグジュアリーホテルです。5番街と28番街の角という好立地で、エンパイア・ステート・ビルやマディソン・スクエア・パーク、ペンシルヴェニア駅など、主要な観光スポットや交通機関へのアクセスにも便利です。周辺には高級ブティック、美術館、レストランが立ち並び、ニューヨークの魅力を存分に堪能できます。

このホテルの前身は、19世紀後半の社交界の名士であったシャーロット・グッドリッジ夫人の邸宅。1907年には著名な建築事務所 McKim, Mead & Whiteによってルネサンス様式の銀行建築に生まれ変わりました。そして、The Leading Hotels of the World による10年にわたる精緻な修復と再開発を経て、2023年11月にThe Fifth Avenue Hotelとしてオープンしました。

ゲストルームは6階建ての邸宅棟(The Mansion)と24階建てのタワー棟(The Tower)に分かれており、それぞれ異なる魅力を放ちます。「ギルデッド・エイジ(急速な経済成長と産業化が進み、富裕層が豪華な邸宅や装飾文化を築いた、19世紀後半のアメリカを表す言葉)」を彷彿とさせる邸宅棟は手彫りの装飾やクラシカルな木製パネルが施され、歴史的な趣を感じさせます。他方、タワー棟は現代的なデザインと快適性を兼ね備え、ニューヨークのスカイラインを一望できる眺望が誇ります。


インテリアは手がけたのは世界的に知られるMartin Brudnizki Design Studio(MBDS)。ちなみに、133で紹介したThe Surrey, A Corinthia Hotelもこのデザイン事務所によるもので、MBDSはニューヨークで近年話題となっているホテルを数多く生み出しています。The Fifth Avenue Hotelの特徴としては、ホテルオーナーであるアレックス・オヘブシャロムと共同で手がけたカラフルなデザインが挙げられます。マーブルフロア、アンティークミラー、ムラーノガラスのシャンデリアなど、華やかさと温かみが共存する美しい空間に心が躍ります。

館内にはレストランとバーが1軒ずつ。米国料理界で最も権威ある賞のひとつであるジェームズ・ビアード賞を受賞したアンドリュー・カルメリーニがシェフを務める「Café Carmellini」がシグネチャーレストラン。私はランチで利用しましたが、かつて銀行であった時代を思わせる吹き抜けのある空間が高級感を演出していました。コースメニュー推しですがアラカルトも楽しめます。そして、このホテルのおすすめは「The Portrait Bar」。世界各地のアート作品が飾られたバーで、木製パネルの壁と暖炉が温かみを感じさせます。予約を入れないと夕方からすぐに満席になってしまうので訪れる際にはご注意を。このバーに隣接した階段からは2階のパーティールームにつながっており、ウェディングなどが開催される事もあるそうです。

The Fifth Avenue Hotelはバトラーサービスも備えており、洗練された空間、美食、そして心温まるサービスなどを総合的に判断して、とてもレベルの高いホテルだと思います。


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