落ち着きのある高級住宅街として知られるパリ16区。そこに突然現れる城郭風の門構え、その先に覗く豪華な噴水と歴史あるネオクラシック建築。ホテル・セント・ジェームス・パリ(Hotel Saint James Paris)はパリでも珍しい邸宅風ホテルです。
オテル・パティキュリエ(Hôtel particulier) ―― これは、貴族や裕福な一族が都市部に建てたシャトー風の大邸宅のこと。パリ市内には年月を重ねたオテル・パティキュリエが数多く残っていて、ホテルや美術館、官公庁のオフィスなどに転用される例もあります。セント・ジェームス・パリも、オテル・パティキュリエの魅力を引き出したラグジュアリーホテルのひとつです。
セント・ジェームス・パリの歴史は1892年まで遡ります。ここは元々、ルイ・アドルフ・ティエール(Louis Adolphe Thiers)元フランス大統領の未亡人が、優秀な学生を支援するために建てた寄宿学校でした。それ以前は、パリで最初の熱気球発着所があった場所で、その名残を今に伝えます。
1980年代に入ると英国資本によって社交クラブとして再生され、1991年からはホテルとして営業を開始しました。その後、ホテルやレストランを幅広く手掛けるベルトラン・グループ(Groupe Bertrand)の所有となり、ホテルとしてのクオリティが磨かれました。2011年には、独立系ラグジュアリーホテルの会員組織であるルレ・エ・シャトー(Relais & Châteaux)に加盟。加盟に際しては、建物の価値、オーナーの哲学、サービスとホスピタリティのクオリティ、地域社会との結びつき、質の高い料理などの厳しい基準があり、世界中から厳選された個性的なホテルやレストランが名を連ねます。
2021年には全面的にリノベーション。歴史的建築の骨格を残しながら、現代的なエッセンスを加えた内外装は、著名インテリアデザイナー ローラ・ゴンザレス(Laura Gonzalez)によるものです。歴史と伝統のなかにモダンさを感じさせる新たなホテルとして再始動しました。
部屋数は全部で50。大理石の階段、アール・デコ調のデザイン、クラシカルな家具類とコンテンポラリーアートの融合は見事で、美術館を訪れているかのような感覚です。緑豊かなランドスケープはグザビエ・ド・シラク(Xavier de Chirac)が設計。季節ごとに違った顔を見せる庭園がゲストを迎えています。
グレゴリー・ガランベイ(Grégory Garimbay)シェフが率いる館内レストラン「ベルフォイユ(Bellefeuille)」は、ミシュランガイドで1つ星を獲得する実力店。「美しい葉」を意味する名に相応しく、その料理は季節や自然の移ろいを表現した芸術品のよう。味はもちろん、自然界の色や素材感を表現した物語性のある料理が、多くの美食家を魅了しています。自ら管理するオーガニックガーデンで栽培された野菜やハーブ、環境負荷の少ない方法で獲られた魚介類を選ぶなど、持続可能性にも配慮が行き届いているのも現代的です。天気が良ければ、300㎡もある広大なガーデンテラスで食事も。これは最高の体験で、パリにいるとは思えない素晴らしい時間を過ごしました!コーヒー1杯から利用できるのも嬉しいですね。
約12,000冊の蔵書が圧巻の「ライブラリーバー(Library Bar)」は、歴史的な雰囲気を残す空間。朝から夜遅くまで開いていて、読書しながらカクテルを味わうこともできます。ちょっとした空き時間にゆったりと過ごせる場所があるのは助かりますね。
ホテルの地下には、フランスの高級香水&コスメメゾン ゲラン「Guerlain」が手掛ける「ゲラン・スパ(Guerlain Spa)」が。400㎡超の広さがあり、3つのトリートメントルーム、プール、ハマム、フィットネスジムを完備しています。パリ市内の、しかも50室とコンパクトなホテルで、これだけの設備を揃えているのは珍しいと思います。
とにかく、他では見られない広大なプライベートガーデンが魅力のこのホテル。凱旋門やトロカデロ広場、シャンゼリゼ通りなどへのアクセスも良く、パリ散策やショッピング、アート鑑賞にもぴったりのロケーションです。中心部からは徒歩20分程度と少し離れていますが、ゆっくりと観光を楽しみたい人には最高の選択だと思います。
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